膝の痛み
〈ひざの痛みはバランスのくずれ〉
膝の関節は体じゅうで最も巧妙で複雑な動きをしているため、もともとデリケートな構造をしています。この複雑な動きを重い体重を支えながら行うので、膝には常日頃から、たいへん大きな負担が加わっています。しかも、股関節などが太い筋肉でがっちり保護されているのに対し、膝関節は強力な靭帯で結びつけられているものの、外側をおおうような筋肉はごくわずかです。そのため、常に外からの力で傷害を受けやすい状態にあります。スポーツのし過ぎで膝を酷使したり、老化によって筋力が衰えたり軟骨が摩滅したりすると、膝に傷害がおこることになります。
〈膝の痛みに腰痛の影あり〉
膝の障害が原因で腰にストレスがかかって腰痛になるケースがあり、また逆に腰の障害が原因で姿勢が悪くなり、その結果、膝の痛みを訴える人もいます。こういった人は腰の治療を続けるうちに膝に痛みがなくなることがあります。
〈慢性の膝の病気〉
膝の慢性の病気というのは、関節が長い年月ですりへったり、また初期の軽い膝の障害を放置していたためにおきるものと、原因不明のものがあります。原因不明というのは、本人は膝に悪いことは何もしていないのに関節がむしばまれるような病気です。 慢性変形性膝関節症、慢性関節リュウマチ、半月損傷などが代表的な膝の病気です。
〈膝が悪くならないための対策〉
マッサージをする
膝の曲げ伸ばし行う筋肉の疲労をとります ふとももの前面の大腿四頭筋、腓骨筋、膝蓋骨周辺のこりをとり、緊張し張った筋肉を和らげます。膝を曲げると痛む場合は、膝の裏にある膝か筋と膝裏に近いふくらはぎの疲労と緊張を和らげます。
大腿四頭筋を鍛える
ふともも(大腿四頭筋)を強化することが重要です。トレーニングの方法で井上和彦先生と福島茂先生(『ひざの痛い人が読む本』講談社)がすすめる「セッティング法」のひとつを紹介します。仰向けに寝て、または足を投げ出して座って、膝のうしろに薄い枕やタオルをまいた物を置きます。そして膝をゆっくりと完全に伸ばそうとするようにして、静かに大腿四頭筋を10秒ほど収縮させます。このとき、足首や股関節に少しでも力がはいっていたら筋肉痛がでやすくなりなります。関節を動かさないで筋肉を収縮させる要領です。そのときに膝の裏がタオルをそっと押し付けるのがわかると思います。膝のお皿を引き上げる感じがコツです
一回で運動する回数を30回として、1日3セット以上(最低100回)を基本として、徐々に回数を増やすようにしてください。膝を完全に伸ばすのが重要で、膝を伸ばしたまま10秒間保つことで筋力強化します。
焦らずゆったりした気持ちで一日も休まずに長く続けてください。一日でも運動を休むと筋肉は元に戻ろうとします。今日はやって明日は休みという「やりだめ」ではできません。けっして膝の下のタオルを押す運動と誤解しないください。
膝を完全に伸ばしたままの状態で、ゆっくりと10まで数える10秒間の静止がたいへんに大切ですから必ず守ってください。早くせっかちにやっては効果なしです。ポイントは10秒間の静止と継続です。
〈膝をいたわる三つの基本〉
1. 基本は膝を冷やさない(急性の場合は原則的に冷やす)
2. 膝に負担をかけない(安静にする)
3. 膝を支える筋肉を鍛える
〈施術を受ける目安〉
立ち上がりや動き始めに痛みが生じ、膝に力が入らない。歩行時に常に痛みが生じる。