胸郭出口斜角筋の再認識
胸郭出口は身体の様々な状態変化に応じて歪み、収縮緊張させることで体幹のバランス安定させる機能がある。
この胸郭出口斜角筋に歪みによる緊張と拘縮があることで四肢、体幹の機能に悪影響を及ぼすようになる。
胸郭出口斜角筋は肩甲骨上肢帯が遠心性に運動緊張されると伸展に緊張する性質がある。例えば慢性的な片腕の酷使で肩甲骨上肢帯が過度に伸展に緊張が起きると胸郭斜角筋は伸展に緊張し、鎖骨と肩甲骨も同時に下方への転位される状態になるが、胸郭出口内部の索引と圧迫緊張するで胸郭斜角筋が内転に収縮し、鎖骨と肩甲骨上角が同時に引き上げるように転位拘縮し、本来、反対側に倒れている頭部を胸郭出口斜角筋の収縮過緊張によって引っ張り起こす形となる。
しかし、上肢は上腕から外旋し遠心性に過度に緊張したままであるために筋力が低下する。また肩峰棘内部と肩甲骨下角の転位拘縮、上肢筋群を神経性緊張で、緊張胸郭出口内部を圧迫させ神経節を痛めるようになり、肩、または肩甲骨から指先にかけてしびれを起こすことになる。
胸郭出口斜角筋と腰とは相互作用し緊張するとみられる、胸郭出口斜角筋の歪みと拘縮が左右に胸郭・肋骨、そして胸椎を拘縮させいけば腰椎と骨盤に負荷をかけ、腰椎筋群を拘縮させていく。
特に仙腸靱帯、仙結節靱帯と胸郭出口斜角筋は相互作用の関係にあると思われ、仙腸靱帯・仙結節靱帯の緊張と共鳴するように胸郭出口斜角筋が対称、非対称と連鎖的に緊張することによって脊柱起立筋の収縮運動で体を起こし姿勢を維持させていくが同時に腰椎に負荷をかけていくこととなる。
腰椎骨盤の調整が芳しくない場合、この胸郭出口の調整が必要となる。また、胸郭出口斜角筋の調整は年齢と身体状態に応じた身体機能の低下を防ぐために必要な個所であると考えられる。