縫工筋の考察
胡坐をかいたときに股関節が硬くて開脚できない、また仰臥位で足を屈曲させて股関節が開かないという方は、先天的な要因を除き、大腿内側にある縫工筋の収縮が要因にあると思われる。
縫工筋は、馬の頭を屈曲させ傾ける手綱のように働くことで股関節と膝関節に影響を及ぼす縫工筋の付着部は、起始は上前腸骨棘に付着し、停止部は、脛骨粗面内側に付着し、機能として股関節、膝関節の屈曲補助、股関節の外旋を伴う外転補助、膝関節の内旋補助を担っている。
縫工筋は股関節と膝関節の運動に伴い縫工筋起始部は上方向に、停止部は下方向に伸縮運動されれば大腿は外転・外旋に運動緊張されるが、骨盤下肢帯の捻転動作による緊張転位で股関節が外転、脛骨が内旋に緊張され縫工筋起始腱部が下方と内転に収縮され、脛骨粗面内側に付着する停止部が上方と内旋に収縮緊張にさせてしまうために大腿上部の外転、膝関節の内転にアンバランスに緊張転位し、縫工筋の起始停止の収縮緊張方向のぶつかりで大腿内側が過緊張状態にさせてしまう。日常的にはだるさを感じることはあるだろうが、痛みなどはあまり感じることはない。しかし縫工筋にあたる大腿内側の中央部を押圧すると強い痛みを感じる。この個所は副腎皮質の反射区、反射筋にあたることから、この個所に強い緊張があれば副腎疲労状態にあるとみることがある。
縫工筋の収縮緊張が個人の身体状態などの要因で回復しないまま収縮残遺状態にさせ続け、行動運動していくことで大腿をアンバランスな内転状態にさせ大腿筋群全体を過緊張状態にさせる。
この縫工筋のアンバランスの過緊張は、女性に多いように思われるが、足関節内旋の連鎖による膝関節の内転・内旋転位強調によって膝関節内側が拘縮されるために、股関節の外転を妨げる状態にし特に股関節周辺の筋腱を固定したままに拘縮し可動柔軟性の低下および股関節痛を引き起こす恐れとなる状態にさせる。
しかし、股関節の慢性的な可動域の低下、痛みは、骨盤の上前腸骨棘の形成不全など先天的な原因もあるので何か異変を感じれば専門医でレントゲンをして医師に診断を受けることを優先に。