疲労とストレスの蓄積から頻発する空咳のメカニズムを考察
喘息(気管支喘息)のようなアレルギーや気道の炎症がないにもかかわらず、空咳が頻発することがあります。これは過度な精神的・身体的ストレスや、身体の酷使が引き金となって起こる「心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)」と考えられます。
病院の検査で明らかな異常が見つからないにもかかわらず、連続して空咳が出るのが特徴で、何かに没頭している時や睡眠中は咳が出にくく、ふと緊張が解けた瞬間やストレスを感じた時に激しく出る傾向があります。
このような症状を発症させたお客様の身体状態を観察すると、表面の柔らかさとは裏腹に、深部の筋繊維が硬く縮こまっているのが見られます。具体的には、前鋸筋や肋骨の間にある肋間筋が収縮して強く緊張し、左側の肋骨に歪みが生じています。さらに細かい部分を省いてお伝えすると、背骨の上部(胸椎1〜6番辺り)にも歪みと拘縮が起きており、これらが心臓や肺に負荷をかけているとみられます。そして、この症状を引き起こす一番の歪みのポイントは、実は左手や肘関節の歪みにあります。
しかし、身体がこのような状態にあるからといって、必ず発症するわけではありません。
人間の脳は身体の疲弊を麻痺させることがあるため、本人は疲れを自覚できないまま慢性的な疲労やストレスを蓄積させてしまいます。そうして溜まった負担が、体力や免疫力の低下に伴って個人の持つ最大許容量を超えたとき、まるでコップから水があふれ出るような形で症状が現れます。それまで脳神経の緊張によって抑え込まれていた気道の過敏さや心肺の疲弊が、身体の緊張がフッと緩和した瞬間に、重石が外れたかのように一気に噴出し、止まらない空咳として過剰に反応し始めるのです。
この症状を引き起こす要因は、先ほど申し上げた通り身体の酷使による疲労やストレスです。私自身も過去にこの症状を何度も経験しており、日常的に仕事や運動などで身体を限界まで追い込んだ結果、急に空咳が頻発することがよくありました。
心因性咳嗽は、エネルギーが枯渇して自律神経が乱れることで起こる症状であるため、改善させるためには何よりも身体のメンテナンスを行い、十分な休養と休息をとることが必要不可欠です。ただし、咳が続く場合は自己判断をせず、まずは一般内科や呼吸器内科などの医療機関を受診し、他の病気がないかを確認してください。
